会長挨拶
この度、第35回日本助産学会学術集会を2021年3月20日(土)~21日(日)にオンラインにて開催することになりました。
今回の学会のテーマは「助産師として生きる~改革と挑戦~」としました。日本の助産師は、産婆の名称で明治期から女性の職業として確立してきました。私たち助産師には、その産婆の誇りと覚悟、勇気を受け継いで、今ここに助産師として生きております。この職業は、こどもの誕生と母親の誕生、そして新しい家族の誕生の場に出会える、と同時に女性のつらさも受け止めていく、まさしく女性とともにある職業です。そのため、ケアは点ではなく、妊娠期から育児期までの継続した線のケアであり、それらが地域という面で大きく広がり、そして深くつながるケアにもなります。近年の、目まぐるしい社会変化のなかで、多様性を大事にし、そして持続可能性(サスティナビリティ)を目指す社会において、母子やその家族、女性たちに必要とされる助産師は何をすべきかを常に考えなければなりません。特に、新型コロナウイルスの出現による社会の変化は、これまでの変化のスピードを加速化したといわれます。変化に適応し新たに変わらなければならないものもあります。しかし、変わらないほうがいいものもあります。それらを見極め、改革し、新たなことに挑戦していくことが今、助産師に必要と考えています。
今回、学会のモチーフには、神戸出身の木版画家川西祐三郎氏の、神戸の街の作品です。学会を開催する神戸市は、幕末の開港以来、多様な外国文化を取り入れて独自の文化を築いてきた歴史を持つ街です。また、阪神・淡路大震災からも力を合わせて見事な復興を成し遂げた街でもあります。青い空と海、その間に緑の六甲山系の安定感と、躍動感のある船が今回のテーマを表しており、この街からのエネルギーを皆様にお届けしたいと、ご家族のご協力のもとこの版画を使わせていただきました。
そのような多様性がありエネルギーがある都市から現役の助産師はもちろんの事、助産の未来を担う助産学生とも、未来について熱く議論ができ、そして楽しめる大会にしたいと考えております。
学会当日は、Webではありながら新しい方法を挑戦して、皆様の活発なご討議が行われ、助産師の交流を目指し、事務局一同準備を進めております。皆様の多数のご参加をお待ち申し上げております。
- 第35回日本助産学会学術集会
会長高田 昌代
神戸市看護大学 教授